橋本剃云

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剃髪・愛の会「ヘアドネーション」を
知っていますか

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(2020.07.07)この記事を全面改稿いたしました。

ヘアドネーションという活動も、ここ数年でノウハウの蓄積が進み、周囲の状況も色々と変化してきました。ところが、「せっかく寄付してくれた髪なんだけど、この状態ではウィッグの材料として使ってあげられない」といった声も増えてきています。

その他にも色々と要注意点がありますので、これからヘアドネーションへの参加をご希望のかたは、ドネーション受け入れ団体のホームページなどをしっかり熟読して、確実に相手先に届くよう細心の注意をお願いします。

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目 次
 
★ヘアドネーションのあらまし
  ●基本は「最低31cm」、できればもっと長い髪を
  ●もし、31cmに満たない部分が出てしまったら?
  ●2020年現在、どこの団体も活動規模を縮小中です
★補足1:必ずしも坊主にする必要はありません
★補足2:実際にカットする際の注意
  ●最重要ポイント:水濡れ厳禁!
  ●宅配便・レターパックの送りかた
★補足3:不誠実な人たちに注意!
  ●アコギな買い取り業者
  ●一部のダメダメな美容室
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★ヘアドネーションのあらまし★

みなさま、「ヘアドネーション」という活動をご存じでしょうか。Wikipediaでは「小児がんや先天性の脱毛症、不慮の事故などで頭髪を失った子どものために、寄付された髪の毛でウィッグを作り無償で提供する活動」(→Wikipedia「ヘアドネーション」)と説明されています。弊社では「髪なんて要らない」さらには「いっそ坊主にしたい」という方へと精力的にお声がけをしていますが(→【Twitterプロモーション】)、逆に、小さなお子さんを中心に、「病気とはいえ、髪を失いたくなかった」「髪がないなんて恥ずかしい」とお考えになる方も、厳然として多数いらっしゃるのです。

この2種類の相反する願望をうまくマッチングできる方法が、上記のヘアドネーションです。NHKなどでも最近は「シェアリング・エコノミー」というキーワードを耳にする機会が増えましたが、髪もモノと同様、「要らない」人から「欲しい」人へと譲り渡して、しっかり有効活用できる時代がやってきているのです。

というわけで、もしあなたの髪がそこそこ長くて、それでいて、今すぐバッサリ切ってしまいたいということであれば(坊主志願者はもちろんですが、超ロングヘアからショートボブへ、という人も多いです)、ぜひヘアドネーションに参加していただきたいと思います。「坊主・スポーツ刈り・角刈り系」に仕上げるつもりならば、肩につく程度のセミロングからでも十分に長い髪が採取可能です。

というわけで、ひょっとしたらアナタの「人生最後の美容室行き」になるかもしれない瞬間を、誰か世のため人のために活用してみませんか?

●基本は「最低31cm」、できればもっと長い髪を

さて、切った髪をウィッグの材料として使ってもらうためには、おおむね31cm以上の長さが必要です。その理由については、この業界のパイオニア・JHD&C(ジャーダック)さんが次のように書いておられます:

脱毛症状などによりウィッグを必要とするお子様の多くが希望しているのは、セミロング、ロングヘアのフルウィッグです。

31センチ以下の髪の毛では、医療用フルウィッグを作ることができません。髪の毛を半分に折り返してウィッグの地肌となる生地に縫い付けるためです。

(中略)

職業、性別、体質、毛質、体調によっては伸ばすことや、ヘアカットができない方も多くいらっしゃいます。

しかし、「31センチ以上の髪の毛がなければ、フルウィッグは作れない」……これは、どうやっても乗り越えられない壁です。

もし、31センチ以上伸ばせる方には、日常生活に支障のない範囲でチャレンジしていただけましたら、これほどありがたいことはありません。

団体によっては「31cmといわず、もっと長い髪がほしい」と明言されているところもあります。

NPO法人HEROが子供たちに提供しているのは、完全オーダーメイドの医療用人毛フルウィッグです。

フルウィッグとは、頭部全体を覆う全頭用ウィッグのことです。このフルウィッグを作るために必要な髪の毛の長さが31cm以上なのです!

(中略)31cmの髪の毛でしたら、半分に折って約15cmの長さで植えます。

15cmというのは、植毛した時に髪の毛が寝る最短の長さです。15cm以下ですと髪の毛が立ってしまい、ヘアスタイルの維持ができません。そのため、フルウィッグを作る時には、31cm未満の髪の毛は使うことができないのです。

また31cmの髪だけでは、女の子用のウィッグは作ることができません。31cmの髪の毛だけでは、長さが15cm程度のフルウィッグとなり、多くが男の子用になってしまいます。女の子用のウィッグは、40cm50cm以上といった長さの髪を、6対4または7対3程度で折り返し、31cmの髪の毛と取り混ぜながらウィッグを作ります。(中略)

●15cmから募集している団体もありますが……

私たちとは異なる団体15cmから募集しているので、混同されている方が多いのだと思いますが、31cm未満で出来るウィッグは、頭頂部に植毛をしないウィッグで、常に帽子をかぶって使用するインナーウィッグと呼ばれるものです。

私たちの願いは、髪の毛の問題で塞いでいる子供たちが、少しでも自信を持って日常の生活に戻って欲しいということです。

(中略)

そして、そのために必要なウィッグは、その子に合わせて型どりをおこなって製作する人毛の医療用オリジナルウィッグなのです。常に帽子で頭頂部を隠さなくてはならないウィッグは、私たちの目指すところではありません。

しかし、それでも毎日たくさんの31cm未満の髪の毛が送られてきます。

問題は、同封されているメッセージを拝見すると、短い髪の毛でも子供たちが望んでいるフルウィッグができると勘違いされていることです。さらに、31cm未満の髪の毛が増えることで、本来必要な31cm以上の髪の毛が集まりにくくなっている問題もあります。

あと、半年我慢していただければ…このような髪の毛がとても多いのです。

どうか、ヘアドネーションを考えている皆様は、31cm以上の髪で作られるウィッグと、31cm未満で作られるウィッグ違いをよくご理解の上、ご自身がどこに寄付をするのが一番良いのかを確認してからお送りくださいますようお願いします。

(中略)

NPO法人HEROでは、慢性的に50cm以上の髪の毛が不足しております。
ウィッグを申し込んでいる子供たちの9割が女の子なのです…

●もし、31cmに満たない部分が出てしまったら?

受け入れ団体の中には上記のように、「15cmからドネーションOK」としているところもあります。しかしながら、十分な長さがあるほうがウイッグの材料として好条件なのは確かですので、あまり長さのない(=用途が限られてしまう)髪だけを大量に送り付けることは避けるべきでしょう。もし可能であれば、十分な長さが採れるまで髪を伸ばしてから、その長い髪を寄付していただきたいと思います。

とはいえ、実際に切ってみると31cmに満たない部分が少しは出てきてしまう、というのは当然あることです。その場合でも、団体によっては一緒に引き取ってくれることがありますので、受け入れ団体のホームページなどで条件を確認して、もし受け入れているようであれば、長い髪とは別の束にまとめて、同封して送るのがいいでしょう。

●2020年現在、どこの団体も活動規模を縮小中です

2020年7月現在、どこの受け入れ団体でも、新型コロナウイルス感染症の影響によって活動規模の縮小を余儀なくされています。場合によっては、切った髪をしばらく手元に保管しておいて、送付先の活動がそれなりに再開してから送付する、ということも検討したほうがいいかもしれません。

●関連リンク

ヘアドネーション活動に賛同しておられる美容師さんが、ブログで丁寧な解説を書いておられます。

ここには細かい情報も色々と載っていますので、参考になれば幸いです。ただし、実際に活動に参加する際は、寄付先の団体の公式サイトで必ず最新の情報を確認するようにして下さい、

以下、いくつか補足がありますので、この先まで一通りご通読いただければ幸いです。

★補足1:必ずしも坊主にする必要はありません★

以前、下記の動画:

が公開されたとき、Twitterなどでは
まさか,
女性が寄付する場合も
採髪後は
丸坊主になるの?
といった声が散発的に聞かれました。

でもご安心ください、ウィッグに使うための長さとしては上述の通り「おおむね31cm以上」が一応の目安です。なので、女性の場合なら一例として、

腰あたりまで伸ばす

髪をボブくらいに切り,
採取した髪を寄付する

また3〜4年かけて
腰あたりまで伸ばす
といったサイクルを続けることが可能です。

あるいは、「ギリギリの長さしかないけど、もう伸ばすつもりはないので根こそぎ採ってほしい」という場合でも、バリカンで根こそぎ刈り取るのではなく、適度な分量に分けて根元で縛って、その結び目から1-2cm程度の位置でカットすれば、残った髪でボーイッシュなショートカットに仕上げることができます。

これはたとえば、下記の動画が参考になるでしょう。結局この方は最終的にツルツルの完全剃髪(スキンヘッド)にしてしまうのですが、髪を束にして切り取ったあと、バリカンで丸刈りにする一歩手前の状況を見れば、ここから丸刈りにはせずベリーショートに整えるのも十分可能、とおわかりいただけるはずです。

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★補足2:実際にカットする際の注意★

ヘアドネーション受け入れ団体の最大手・Japan Hair Donation & Charity(JHD&C=ジャーダック)さんのサイトに、寄付のため実際にカットをする際の手順や注意点などが詳しく記載されています。ほかの団体に髪を寄付する場合にも広く当てはまる有用な情報ですので、事前にしっかりとご一読いただければ幸いです。

また、カットを担当していただく理美容師さん向けの詳しいPDFファイルもありますので、そちらも適宜プリントアウトしてご利用ください。

●最重要ポイント:水濡れ厳禁!

その中で、特に重要なポイントをひとつだけ引用しておきます。

カットの前に、決して髪の毛を濡らさないでください!
必ず「シャンプー前のドネーションカット」でお願いします。
少しでも湿っていると雑菌が繁殖したりカビが生えたりして、ウィッグの素材として利用できなくなります。

また、日本と海外とでも事情が異なりますので、YouTubeに出ている海外の動画(主にインドなど南アジアの動画が、2020年ごろから大量に出回るようになりました)の手順をそのまま真似しないようにしてください。インドなどの動画では「ワンレングスの長い髪を真ん中で分けてツインテールに結って、水で濡らして、そのまま分け目からカミソリを入れてイッキに剃り落とす」という手順のものが多々ありますが、この方式が通用するのは、

という背景事情があります。日本の場合は現状、比較的少人数の髪を郵便や宅配便で各団体に集めて、そこで数か月以上も保管された後で業者の手に渡りますので、保管中の髪が劣化してしまうリスク徹底的に避けるようにしてください。

●宅配便・レターパックの送りかた

もうひとつの注意点として、切った髪は基本的に、自分で宅配便レターパック(→日本郵便の公式サイトへ)などを使って受け入れ団体に送付することになります。この際、送り先の住所・名称とともに「品名」を明記する必要があるのが一般的です。これについては上記のJHD&Cさんのページには特に記述がないのですが、別の方が「最初から『ウィッグ』と記載するのが無難」という主旨の発言をされています。それをご紹介します。

ばしし ヘアドネーション撮影モデル様募集中 カット代無料 モデル代お支払いできます。
@LongtoShort2027

女子高生ヘアドネーション同好会様 に髪束を送る際、レターパックを利用しているのですが品名は「ウィッグ」にしています。
品名に「髪の毛」と書いてあったら郵便局の方がびっくりされる可能性あると思うので。

(以下略)

また、郵便料金不足での送付も相手先に迷惑がかかりますので、注意が必要です。特にレターパックは要注意で、「レターパックライト」青いレターパック)は発売当初350円(税5%込)でしたが、消費増税とともに2回の値上げがあり、2021年現在は370円(税10%込)となっています。同様に、「レターパックプラス」赤いレターパック)も当初の500円(税5%込)から2021年現在は520円(税10%込)に上がっています。

というわけで、青で350円・360円の封筒、赤で500円・510円の封筒がお手元にあるかたは、現在の価格(370円・520円)との差額分の切手を貼ってからポストに投函するようにしてください。また、消費増税がなくてもいつの間にかレターパックだけ値上がりしていた、ということもありえますので、しばらく前に買ってストックしておいた封筒を使う際には、念のため日本郵便の公式サイトで価格を確認するようにしてください。

女子高生ヘアドネーション同好会(頭髪寄付)【公式】
@HairForChildren

【お願い】

今まで料金不足の郵便物は私達が不足分の切手を貼り、受け取っておりました。最近システムが変わり 料金不足だと一旦送り返す必要がでてきてしまいました。

活動に遅れが出てしまうため、切手料金をご確認いただけると大変助かります。ご協力本当に感謝しています。よろしくお願いします。

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★補足3:不誠実な人たちに注意!★

さて、非常に残念なことなのですが、世の中には、ヘアドネーションのブームに便乗して不誠実なことをする人も出てきました。せっかく長く伸ばした髪を無駄にしないためにも、そういうところに引っかからないよう細心の注意を払ってください。

●アコギな買い取り業者

そういう不誠実なパターンの一つ目としては、ウィッグに使う髪を集めていると称して髪を買い取って、実際にはウィッグの材料にするのではなく、「断髪フェチ」と呼ばれるマニアの人への転売金儲けをしている業者が多数確認されています。

もちろん、最初から「切った髪はマニアの手に渡る」という十分な説明を受け、それにしっかり納得して、相応の報酬を受け取って髪を売るのであれば何の問題もありません。しかしながら、この手の業者の中には、若い女性の髪は高額で売れるという事実を伏せて、貴重な髪を二束三文で買い叩くところが多々あります。

受け入れ団体からも注意喚起が出ていますし(→2018年10月25日【重要】「ヘアドネーションをご検討中の皆さまへ」悪質な業者にご注意ください!、上記の「ばしし @LongtoShort2027」さんも注意喚起のツイートを発信していますので、「こういうところは要警戒」と考えてください。

髪束買取で検索 すると何件か出てきます。
連絡先は携帯番号
マンションの一室で運営
なぜか若い女性限定
なぜか髪束の写真だけではなく
Before Afterの写真も求めてきます。

テレビで髪束買取サービスで報道されてたりもします。
買取価格は1000-3000くらいあまり良い値段ではありません

逆に「髪束販売」のほうで検索すると、ネットオークションでごく普通の髪束に1万円前後の値がついているのが分かります。マニアの中には「上質なものなら5万円、10万円払っても惜しくない」という人も少なくありません。
髪束買取業者のサイトを見ると

男性の髪束不可
30歳以下
生年月日記入
↑ヘアドネーションは年齢性別関係ないので謎。
特定の要素で柔らかい髪必要とかあるかもしれませんが?

切ってから1ヶ月以内。
↑加工する時に化学処理するので1ヶ月以内でなくても。

Before after の写真
↑必要??

さらには、こんな指摘もあります。この手の業者は往々にして、仕入れ先である女性陣だけでなく、顧客であるマニアの人たちに対しても嘘をついているのです。

髪の毛売られるとき、長さと髪質が近い髪束に全く関係のない方の写真を添付して売る業者もいます。
うちの作品の写真も利用されたことがあります

髪束の数や結んでいるゴムの位置や色、表記されている髪の長さと実際の長さが異なる場合が多いですが似せてくる場合もあります。

●一部のダメダメな美容室

また、「ヘアドネーション協賛店」のステッカーを掲げている美容室の中にも、ごく一部だとは信じたいのですが、預かった髪をきちんと受け入れ団体に送ってくれない杜撰な店があるようです。

それを受けてか、受け入れ団体のほうでも送付方法を「寄付する本人からの直接発送」に限るという動きが出てきています。

ヘアドネーション受付継続にあたり、髪の毛の送付と受領証の申請について、下記のとおり統一させていただきます。

●サロン経由、グループによるまとめ送付はなさらずドナーご自身でご送付ください

もとより、ヘアドネーションの髪の毛はドナーご自身によるご送付が原則ですが、理美容師の皆さまのボランティアとして「送付代行」を行ってくださるサロンさまも数多くございました。

この場をお借りしてご厚情に心より感謝申し上げます。ありがとうございました。

今後は、ドナーの皆さまにはドネーションカットした髪の毛はサロン等にお預けにならずドナーさまご自身で事務局に送っていただきますようお願いいたします。
(サロンに行かれる際には髪の毛を入れて持ち帰れる袋をご持参ください)

この件はニュース記事にもなっています。

トラブルの実態については、以下のツイートもご参照ください。

美容室はお預かりした髪束を転売するというより
ヘアドネーションに協賛してると言いながら郵送代ケチって髪束山積み。山積みしてる間に紛失、カビ生えて使えなくなる等
適当な管理しているお店が多いのが問題かと。
髪を切ることは得意なんだけど適切な店舗運営ができていない店が一定数あります
なんで一部の美容室はヘアドネーションした髪をずっと保管してからまとめて送るのだろうか。
月一で送ればいいやん。
郵送代なんて500円ちょっとやん。

お客様から施術代取ってるんやろ
ヘアドネーション謳って集客しとるんやろ。

そこらへんの適当さが不信感生まれる原因なんじゃないのかね。

結局ヘアドネーションはやってるから集客に結びつけようと協賛店としたけど
ヘアドネーションカットの勉強していない調べていない
髪束どうしたら良いかわからない
郵送代ケチっちゃう訳でしょ。
浅はかです。
プロ失格です。
❤ ❤ ❤

以上、色々と書いてまいりましたが、ヘアドネーションをめぐる情勢は、当然のことながら時々刻々と変化します。重要な注意点がここに載っているよ、といった情報をお持ちでしたら、ぜひ弊社にもおたよりをお寄せいただければ幸いです。

 

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