橋本剃云

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剃髪・愛の会

ブログのようなもの
§0023 「春の戦没(笑)」の
季節がやってきました

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目 次
 
1. はじめに
2. 元ネタは「2ちゃんねる」です
2.2 その後の動き
2.3 参考資料
3. 「皇支援」ネタだけは今でも現役です
4. 予告:弊社から「実験」を仕掛けてみます

★はじめに★

2023年もぶじ、「春のセンバツ」が甲子園にて開幕しました。ここ数年は春も夏もコロナで色々とありましたから、今回こそ何事もなく、無事に大会が完遂できることを祈りたいと思います。

ところで皆さま、この「春のセンバツ」をもじった「春の戦没」という冗談ネタをご存じでしょうか。2005年の初出から既に20年近くが経とうとしているのに、いまだにYahoo!知恵袋などでは、事情を知らない新人回答者さんを狙った「釣りネタ」として、頻繁に投稿されています。

まずはその文章を見てみましょう。

先日、息子が野球部に入るのだと言って頭を丸刈りにしました。
私は野球のことは全く知りませんが今時スポーツをするのに丸刈りにする必要があるのか・・・・
疑問に思っていました。
謎が解けたのは、息子が「皇支援に行くのが夢だ」などと言い出してからでした。
野球とはスポーツに見せかけた極右活動だったのです。
息子が党首をやっていて保守のためにがんばるというのを聞いた時にはその場にへたりこんでしまいました
最近始まった高校野球の大会も「春の戦没」などという名で、あの忌まわしき戦争を思い出させます。
揃いの服に身を包んだ丸刈りの若者達の入場行進を見た時、私には軍靴の足音が聞こえてきました。

(38歳 主婦)

…皆さまはこの文章を一読されて、どのようなご意見・ご感想をお持ちになられたでしょうか。

❤ ❤ ❤

★元ネタは「2ちゃんねる」です★

実はこの文章の初出は2005年2ちゃんねる(現・5ちゃんねる)の片隅の「オッスオラ極右のガイドライン」というスレッドに投稿された創作文です。この文章の初出稿には、2023年時点では下記のアドレスからアクセスできます:

当時はまだ、紙の新聞が今よりずっと大きな勢力を維持していた時代です。当時の新聞紙では割と結構な頻度で、「反戦平和」というと聞こえはいいものの実際には現実の世界情勢から極端にかけ離れた、突拍子もない論調を掲げた記事が掲載されていました。そういった記事は、右派寄りの住人が多数派を占めていた当時の2ちゃんねるにおいて、大々的に物笑いの種となっていました。

そんな中で、ある2ちゃんねらーが大々的な「釣果」を挙げます。日本共産党内部の反主流派メンバーが集うサイト『さざ波通信』に、下記のような一般投書(を装ったガセネタ)が掲載されてしまったのです。

●軍靴の音が聞こえます。
2005/01/20 主婦J 50代 専業主婦

先日、がビデオを見ているととんでもない言葉に耳を疑いました

「オッス オラ 極右」主人公は異星人との紛争暴力によって解決しようとするものでとても、子どもには見せられる内容ではありません また主人公がピンチになると金髪で青い目に変身します。(元々の主人公は黒髪で黒い目をしています)時代遅れの脱亜入欧的表現に笑ってしまいましたが、こういう所から同じアジアの同胞への差別が始まるのかと思うと薄ら寒い気がします。

そして、最後の必殺技は、全ての人々から元気を少しかけてもらい巨大なエネルギーにするというものなのですが、その表現が更に恐ろしい全ての人々が両手を天に上げる、そう万歳なのです。

万歳をした人から力を奪い取り、敵を撃つという図式は戦中の構図そのもので その衝撃にへたりこんでしまいました。

このような番組を見て育つ子どもの将来が非常に心配です。

この国はいったい何処に進んでいくのでしょうか。

このエピソードの元ネタは言うまでもなく、大ヒットアニメ『ドラゴンボールZ』です。この作品の基本的な部分を知っている人ならば間違いなく、この文章全体が壮大なジョークだということを、軽く一読しただけで即座に見破れるはずです。にもかかわらずこれが上段たということを理解してもらえず、大真面目な論説だと誤解されたまま掲載されたということは、編集部の中に誰一人として、これをガセネタだと見破れる若い世代のスタッフが在籍していなかったということを意味します。この結末は当時の2ちゃんねるに対して、大々的な「驚き」「お祭り騒ぎ」とをもたらしました。

当該記事の存在が最初に伝わったのが、こちらのスレッドです:

そのうちやがて、このような「突飛な新聞論説」風のパロディを創作して笑いの種にしよう、という動きが出てきます。その結果として建てられたのが、下記2つのスレッドです:

●その後の動き

最初の記事が掲載されてから程なくして『さざ波通信』編集部にもこのお祭り騒ぎの様子は伝わったようで、くだんの投稿は跡形もなく削除され2005年1月26日時点での当該ページのアーカイブ ではごく簡潔に「本投稿は削除しました/投稿規定に抵触するものでしたので削除しました。確認が遅れましたことをお詫び致します。」とだけ記載されています。また、1月23日づけで「軍靴の音が聞こえます。 主婦J 50代 専業主婦さんへ」と題した投稿が寄せられたようですが、この投稿もその後、遅くとも4月8日までには削除されています。

●本投稿は削除しました
2005/01/23

本投稿は削除しました。1/20主婦Jという方に関連した投稿は今後掲載いたしません。

●参考資料

この事件の一部始終が、『ピクシブ百科事典』で簡潔に紹介されています。類例もいくつか紹介されていますので、ぜひ参考にしてみてください。

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★「皇支援」ネタだけは今でも現役です★

結局のところ、上で紹介したような盛り上がりはPart2のスレッドまでで立ち消えとなってそれっきりなのですが、なぜかそのうち、冒頭に掲載した「先日、息子が野球部に入るのだと言って…」という文章だけは今の今に至るまで、長い命脈を保ち続けています。

たとえば、Yahoo!知恵袋の検索フォームに「息子が野球部に入るのだと言って頭を丸刈りにしました」と入れてみると、この「釣り」が今でも定期的に投稿されていることが分かります。

そして、この文章が全くのホラだということに気づかないまま躍起になって罵倒を繰り広げる人、あるいは鬼の首を取ったかのように「野球=軍国主義」というステレオタイプな主張を臆面もなく繰り広げる人、そういった「話の通じない人」が少なからず見受けられます。そんな様子を見て、私のほうこそつい

この国はいったい
何処に進んで
いくのでしょうか。
という意趣返しを呟きたくなってしまうほどです。
❤ ❤ ❤

とはいえ、愚痴をつぶやいているだけでは何も解決しないので、このモヤモヤに関してはどこかのタイミングで、【特集記事】のページあたりに論説記事をまとめようと考えています。この論点をどんどん深堀りしていくと、単に野球部の丸刈り文化が云々とか、あるいは日本の青少年スポーツの在り方が云々とか、そんなちっぽけな枠組みでは到底とらえきれないほどの、絶望的なまでに深刻な日本社会の現状が透けて見えてきます。

❤ ❤ ❤

★予告:弊社から「実験」を仕掛けてみます★

最後に一つだけ、予告です。

知恵袋の「現状」を推しはかる意味で、近いうちに知恵袋に「大喜利ネタ」を一つ、投稿してみようと思います。

実験の詳細については結果が出揃ってから改めてご報告しますが、果たして知恵袋には現時点で、マトモな議論がきちんと通用する住人がどのくらい残っているのか。その結果をしっかり踏まえた上で、今後の活動方針についても改めて検討しようと思います。

❤ ❤ ❤

ではでは、一旦こんなところで。
 

§0022 私事ですが、ガラケーを卒業しました

つづく