橋本剃云

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剃髪・愛の会Q&A No.0002

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Q0002.

理容室(床屋)と美容室の、制度上の違いを教えてください。

A0002.

「所管の法律が違う」が1点目、「理容室ではカミソリで顔や頭を剃ることができるが、美容室ではできない」が2点目です。

実際の店舗内の雰囲気や、それぞれの文化の違い、細かいサービス内容の違いなどについては、【特集:理容室ってこんなところ──はじめて理容室の門を叩く女性のために──】を参照してください。

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以下、詳しく見ていきます。

●所管の法律が違う

実は、理容室と美容室(あるいはそこで働いている理容師・美容師)とでは、そもそも所管の法律からして違います

理容室と理容師を管轄するのは「理容師法(昭和22年法律234号)」という法律です。一方で、美容室・美容師を管轄するのは「美容師法(昭和32年法律163号)」で、この2つの法律にもとづいて、各種の法規制も別々に行われています。

どちらも監督の実務は保健所の役割ですが、保健所に「理容室」として届け出て営業許可を取った場所では、理容師の免許を持った人がサービスを提供する必要があります。逆に、「美容室」として届け出て営業許可を取った場所では、美容師の免許を持った人がサービスを提供する必要があります。もちろん、中には両方の免許を持っている人もいて、そういう人は理容室・美容室のどちらでも仕事をすることができます。

●最大の違い…カミソリの可否

カミソリで顔を剃ったり、あるいは頭を剃ったりできるのは理容室のほうだけです。なので、顔のヒゲ剃りのほか、頭髪を剃る場合にも(いわゆるスキンヘッドのほか、ツーブロックの隠し剃り上げなども)理容室で剃ってもらう必要があります。刃物のカミソリだけでなく、電気カミソリで剃るのも美容室では不可、というのがどうやら厚生労働省の見解のようです(2018年3月現在)。

なお、Yahoo!知恵袋には異説を唱える自称美容師さんがいるので、その指摘を受けたときは「いつの通達で解禁されたのか」と追及してみてください。答えられないはずです。

実際、後述の制度一本化の論議でも、今まで美容師免許だけでやってきた人に顔剃り技術をどうやって習得させるのか、というのが大きな検討課題のひとつになっています。

●千円カット店の事情

さて、しばらく前から増えてきた「カットのみでシャンプー・顔剃りなし、1000円ぽっきり」というタイプのお店、通称「千円カット」は、上記のような法制度のひずみに引っかかっている存在です。というのも、カットだけなら理容師でも美容師でもかまわないのに対し、保健所の営業許可は1箇所につき原則としてどちらか片方だけなので、一見したところ同じチェーンの店で、同じサービスを提供しているように見えても、中で理容師が働いている店は「理容室」として、逆に美容師が働いている店は「美容室」として保健所の営業許可を取っているのです。

そうすると、たとえば「理容室」として許可を取っている店が混雑しているから近隣店から応援を呼ぼう、と思っても、美容師の免許だけしか持っていない人は応援に行けません。これは営業上非常に不便なことなので、千円カットの先駆け・QBハウスさんあたりは制度改正を国に強く要望しています。

●制度一本化論議

その他にも今までに、「美容室で男性客の髪をカットするのはダメ」「理容室で女性客にパーマをかけるのはダメ」といった不毛な議論が幾度となく繰り返されてきました。(ちなみに、これは両方とも、近年になって公式に「そのサービスを提供してもよい」という方針に変わりました。)

また、世界各国の制度を見てみると、日本のように「理容」と「美容」の2つに分かれている国はかなりの少数派で、理容と美容の垣根がない国もたくさんあります。そのため日本でも、理容と美容の制度を一本化してはどうかという議論がさかんに行われており、「理容師 美容師 一本化」で検索すると多数のページがヒットします。トップに出てくるのが消費者庁のページ、というのは注目に値するでしょう。

 

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