ネット上を見ていると、
短いほうが気楽なのに、
成人式で振袖を
着るために我慢して
伸ばしている
という人を本当にたくさん見かけます。皆さん大変だなあ、と思います。
まずはこれについて。
目 次
1. 「振袖=アップスタイル」なんて、誰が決めた?
2. 短くても和服に合うアレンジは可能
【参考:極端な事例】
3. いっそ男装という手もある
4. 成人式≠制服ファッションショー
5. 補足──逆の場合
★「振袖=アップスタイル」なんて、誰が決めた?★
ちょっと立ち止まって考えてみてください。そもそも、「振袖にはロングヘアのアップスタイルじゃなきゃいけない」なんて、誰が決めたのでしょうか?
確かに歴史的には、大正時代あたりに女性の洋装が一般化する以前には、日本人の大半の女性は髪を長く伸ばし、日本髪を結っていました。でも、今はその大正時代から既に100年以上が経っています。その100年間で当の女性たちの意識や世間一般の認識は、いくつかの段階を経て大きく変化してきました。実際、今の時代に結婚式などの晴れの場に出席すると、大人の女性がショートヘアやボブカットで着物を着こなしている姿がごく当たり前の光景になっています。
あるいは、「普段着としての着物」の例としては、下記の漫画作品の表紙画が参考になるでしょう:
- いなだ詩穂(著)・小野不由美(原著)『ゴーストハント(4)』(講談社コミックスなかよし、2000年初版)
ISBN 978-4-06-178941-8
さらに、同年代の女優さんたちがどうしているのかも大いに参考になります。売れっ子の女優さんの場合、成人式の前後にもお仕事を抱えていますので、役作りの関係でショートボブとか、人によっては耳出しショートとかで成人式を迎える人もいます。そういう人でも、大抵の人はちゃんと成人式で振袖姿を披露しています。そのへんの写真も、「ショートヘアの成人式アレンジ」で検索するとズバリ出てきます。大きく目立つ花などをあしらうのが定石のようです。
【参考:極端な事例】
ちょっと極端な事例として、成人式のときに舞台劇『友情〜秋桜のバラード〜』の座長公演まっただ中だった吹上由衣さんの場合、坊主頭にボブのウィッグという姿で成人式に参加しています。そうやって対処する方法もあるのです。
新成人の皆さん、おめでとうございます!
晴れ着姿で歩いてる方を見かけたけど、雨は大丈夫だったのかな…(>_<)私の成人式は色んな意味でドッキドキだった。会場で私と会った同級生達は、まさか私が役のために坊主にしてて、フルウィッグだったとは思うまい……。(バレなくて良かった)良き思い出。2018.01.08付の吹上氏ツイートより
https://twitter. com/ cos_mo1223/ status/ 950325324159508481
★短くても和服に合うアレンジは可能★
(2023.02.02追記)
実際に「ショートヘア+振袖」という組み合わせで晴れの場に出席した有名人の写真なども、今のご時世ですからネットですぐに見つけることができます。たとえば、画像検索「小平奈緒 春の園遊会」などが分かりやすいでしょう。
(この検索で出てくる写真は、小平さんが2018年の平昌五輪で金メダルを獲得し、 その実績を評価されて天皇皇后両陛下 (現・上皇上皇后両陛下) 主催の園遊会に招待された際の新聞・テレビ各社の報道写真です。)
もっと短い場合でも、神取忍さんくらいのミニマムショート(→画像検索「神取忍」)でも、トップの髪が最低3cm程度あれば、ウィッグやエクステの類を使わずとも、ワックスやアクセサリーなどを駆使してきちんとフェミニンなアレンジが可能です。そして、いちばん短くなる襟足の部分は、最低5mmくらいあれば「女性のスタイルとして短すぎる」と判断されることはないでしょう。こちらは仮にそれまで0.5mmに刈り込んでいたとしても、式の1ヶ月〜半月くらい前から伸ばしはじめれば十分に間に合います。
あるいは、それまでツーブロックボブ(耳の上の部分を隠し刈り上げ)にしていた人の場合は、刈り上げ部分をガッツリと短く刈り込み(できればこの機会に、0.5mmでの刈り込みに挑戦してみましょう!)、その上の髪を耳の後ろに流して刈り上げ部分がチラリと見えるようにすると、クールな大人のキャリアウーマンというイメージができあがって、やはり和服にぴったり合います。
というわけで、「ロングヘアは性に合わない」と思っている人は、堂々と短い髪のままで振袖を着て、晴れ舞台に臨んでいただきたいと思います。
★いっそ男装という手もある★
あるいは、髪がどう頑張っても3cmない、ウィッグも性に合わない、という人は、いっそ男装で成人式に出席するという選択肢もあります。もちろん、ロングヘアだけど振袖は着せ替え人形のようで気が進まない、という人も、堂々と男装で出席してかまわないと思います。
そもそも、女性の男装というのは、1594-1597年ごろに書かれたシェイクスピアの戯曲『ヴェニスの商人』(→Wikipedia)に登場するくらい大昔から市民権を得ているスタイルです。今の時代ならなおさらです。そしてそもそも成人式というのは、みんなで同じ服を制服のように着るイベントではありません。なので、男装のほうがしっくりくるという人は堂々と男性用の正装、たとえば燕尾服とかタキシードとかを着て式に臨めばよいのです。
(ただしこの場合、男性の出席者の大半はビジネススーツを着てくるでしょうけど、女性が男装する場合には、女物のパンツスーツであれ男物のスーツであれ、安価なビジネススーツは避けたほうが無難でしょう。頭の固い周囲の中高年にも文句を言われないように、キメるときはビシッと礼服でキメましょう。)
★成人式≠制服ファッションショー★
繰り返しになりますが、成人式というのは、まるで制服のようにみんなで振袖を着てファッションショーもどきのことをする場ではないと私は考えます。節度ある範囲内で、という但し書きはつきますが、もっと自分らしさを押し出した装いで式に望んでもいいのではないでしょうか。
★補足──逆の場合★
ひとつ補足しておきます。
女性の男装は今や当たり前になっていますが、その逆の「男性の女装」にはまだまだ世間の風当たりが強いと言わざるを得ません。それでも今は、サイズ次第ではありますがそういう要望にも対応してくれる貸衣裳屋さんが何軒もあるようですので、男の体に生まれてきてしまったけど成人式では振袖を着たい、という人は、早いうちから念入りにリサーチをして、堂々と式本番を迎えてください。
いつか、男性のロングヘア・振袖も当たり前のように受け入れられるようになるといいですね。
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