Q0011.
五厘より短い「剃厘(そりん)」という長さがあると聞きました。何ミリくらいの長さで、どんな見映えなんでしょう?
A0011.
その言い方は某ブログが勝手に名付けただけのもので、世間一般では全く普及していません。もちろん、床屋で「ソリンにしてください」と注文しても通じません。
●日本語として変
そもそも、「剃厘」と書いて「そりん」と読むのは日本語として変です。
たとえば、「敷金」という単語は通常、何と読むでしょうか。「しききん」ですね。これを「しきん」と読む人は、日本人でも外国人でもまずいません。/kiki/ という4音素の並びから都合のいいように子音と母音がペアで抜けて /ki/ になる、という変化は、人間の脳の言語機能の摂理に反しているのです。
同様に、もし「剃厘」と書く語を作って「剃」を「そり」と読ませたければ、全体の読みは「そりりん」にならなければならないはずなのです。あるいはもし、何の前提知識もなしにこの2文字の並びを見せられたら、私なら「ていりん」と音読みしていることでしょう。
●話の出どころ
この言葉を作ったのは、どうやら下記のサイトのようとです。いろんなサイトから丸刈りの集団(主に男子学生のスポーツチーム)の写真を集めて転載しているサイトです。
またいつ消えるか分からないので、その場合はしばらく日数を置いてから、Google検索「断髪・坊主・丸刈り・五厘好きのブログ」あたりからさがしてください。●知恵袋にはたまに出てくる単語です
ところがこの「剃厘」という単語、Yahoo!知恵袋ではときどき出てきます。
そんな中、私が以前に書き込んだ回答を最後に紹介しておこうと思います。
剃厘ってスキンヘッドとどう違いますか?また、高校生が剃厘にしているの... - Yahoo!知恵袋
https://detail. chiebukuro. yahoo .co.jp/ qa/ question_ detail/ q11189245196 あなたの回答は取り消されました。
あなたが回答した質問が取り消されたため、あなたの回答も取り消されました。
teihatsu_ai_no_kaiさん 2018/4/21 02:50:00そもそも、まともな理美容業界の人は「剃厘」なんていう言葉は使いません。
この言葉はどうやら
坊主・丸刈り・五厘・断髪好きのブログ 3rd
https://ameblo.jp/ konbuzzcut3/
が発祥のようです。
※ブログを閉鎖したのかサーバトラブルなのか、今はこのブログは閲覧できません。❤ ❤ ❤ で、そもそも「五厘」というコトバの本来の意味をご存知ですか?本来「五厘」とは1.6mmくらいの長さのことです。そのへんの解説はこちらの拙稿をご参照ください:
http://www. tulip. sannet. ne.jp/ teihatsu- ainokai/ burogu0004. html ところが理容業界では昔からの習わしで、「バリカンで刈れるいちばん短い丸刈り」のことを五厘と称することがよくあります。これはバリカンの機種にもよりますが、一般的な頭髪用のバリカンで0.8mm程度、男性のヒゲ用の小型のバリカンで0.5mm程度です。
そのくらいの長さの丸刈りのことを、上記のブログでは「剃厘」と書いて「そりん」と呼んでいるようです。後述するようにこれは「剃」ではありませんし、そもそも「厘」という文字の意味も理解できていないようです。
❤ ❤ ❤ 一方で、一般的に「スキンヘッド」と言われているスタイルは、カミソリで頭髪をツルツルに剃った状態を指します。剃ったばっかりのときはつるつるしますが、半日も経てばまた髪が伸びてきてザラザラしてきます。一方で、「剃厘」と呼ばれているのはカミソリを使わずにバリカンで刈っただけのスタイルですので、最初からザラザラしています。
ちなみに、髪が伸びる長さは1日に0.3mmですから、完全に剃ってから2-3日もすればすぐ0.5mmになりますし、本来の意味での五厘、つまり1.6mmに伸びるまでにも1週間はかからないでしょう。
❤ ❤ ❤ ちなみに、学校や職場のルールで「丸刈りはOKだが、スキンヘッドはダメ」というところに所属している人だと、3連休がやってきたらその前夜にカミソリで剃ってスキンヘッドに変身して、その時点から伸ばしつづけて連休明けには1mmの丸刈りで社会に戻っていく、という人が結構いますよ。